時を放浪

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原発問題〜平和ボケ〜

世界最悪レベルの事故である原発事故は「レベル7」に位置し、チェルノブイリに次ぐ、世界で2例目目の出来事だ。前回の記事ではどのように原発事故が起きたのか、時系列を辿りながら説明してきました。今回は現場と本店そして政府。この3つの関係性。について話していきたいと思います。前回の記事を読んでから今回を読んだ方が流れが掴めるのでオススメ。

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② 平和ボケ

この話をしていく前に1つ伝えたい、日本人は危機感が無さすぎる。これは原発事故に限った話ではない。メディアの情報操作に踊らされ、政府の発表を鵜呑みにし、自分で考えない。自分が知っている情報、知識だけで世界を構成しその中で暮らしている。事実を知ろうとしない。これを全部ひっくるめて平和ボケとまとめた。この言葉が適切なのかはわからないし、それは違うと反論してくる人もいるだろう。だが、今私が書いたことを1つの警告として終わらせ、本題に入っていく。

 

(1)東電の隠蔽

11日の夜時点でメルトダウンが起きていたと思う。日本中が事態に気づいていなかった11日の夜。政府の会見で当時官房長官だった枝野さんはこう発言している「原子炉、そのものに異変があるわけではない。」この政府の発言後に原発の水素爆発が起きた。現場では危険性が危惧されていたのになぜ政府に伝わらなかったのか。そこには東電のある行為が隠されていた。

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 震災の2011年からは時間が経ち、2017年。東電が1つの調査結果を発表した。メルトダウン隠蔽を政府関係なく当時の社長の判断で行われたと。震災直後の12日、核燃料がメルトダウンしているのではないかと懸念の声が実は上がっていた。しかしこの時の東電の会見では炉心損傷という発表。炉心が少し傷ついただけで、原型をとどめているという内容だった。なぜこのような隠蔽を行ったのかは、そこには原発に対する「安全神話」が存在した。

 

(2)安全神話

 事故により、原発に対する認識は危険に変わった人が多い。しかしそれ以前というのは、危険などと誰も思わず安全と思い込んでいた。東海村の臨界事故など危険の予兆があったにも関わらず、電気供給の多くの部分を頼り発電していた。

 

原子力技術は人間が作ったもので、必ずしもリスクが存在する。しかし金儲けをするには「安全」「安心」を勝ち取らなくてはいけない。一度作ってから「実は危険」などとは口が裂けても言えない。本当は事故だって起こる可能性もある。しかし表では「安全」と言わなければ、原発は受け入れてもらえず、すべての問題が進まない状態になっていたのだ。この「安全神話」があって原発は信用を得ることができた。逆を言えば安全神話がなければ、原発の商売はできないということ。

 

ここまでをまとめると、東電はメルトダウンを隠蔽し、「安全神話」を崩したくなかった。現場から本店には情報が送られても、本店から政府には本当の情報が入らなかった。そしてここからこの事故が人災と言われる意味がわかってくるだろう。

 

(3)認識の違い

1号機の水素爆発が起きて1時間。官邸はこの時爆発の事実も掴めていなかった。官邸が理解したのは東電からの緊急報告ではなく、テレビ局の爆発報道を見て事実を知る。ここで問題が1つ浮かび上がってくる。福島原発東京電力本店と官邸の「意思疎通の悪さ」だ。それが完全に見えた瞬間がある。「海水注入」をめぐる混乱だ。事故から時間が経ち、東電は真水による注入を行っていた。しかし真水にも限度があり、量に限界が来ていたのだ。そこで福島原発は政府に「海水注入」の案を申請。しかし4時間経ってもこの申請に対する許可が一向に降りてはこなかった。

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この時政府は何をしていたのか。1つは安全性の確証がなかった。真水ではなく海水を入れてしまうと、ポンプがつまり腐敗してしまう可能性があったため。安全に行える確証がなかったと言われている。あともう1つは1号機爆発で混乱が生じ書類の管理が行われていなかったと言う。

 

申請する前から、当時福島原発所長の吉田さんは海水の注入を行っていた。大量に発生する放射能をこれ以上増やさないために、いますぐ冷やす必要があったからだ。しかし本店からある連絡が届く。海水注入の申請を総理からの許可が下りないため中止しろとの連絡だった。これは管理センターに送られた申請書が、総理や官邸に届けられていなかった政府内で起きた出来事だった。政府はこれによる東京電力内部で生まれたこの混乱を把握していなかった。

 

本店、福島原発、官邸の「意思疎通の悪さ」今は海水注入に絞ってお話しさせてもらったが、これだけではなかった。他にもそれが垣間見れる瞬間はある。3つの関係がしっかりと築かれ、意思疎通が取れていれば、また違う結果が生まれていたのかもしれない。原子力発電とは完璧なものではない。不完全な技術だ。だからこそ想定外があってなならない。今の国会でベラベラと喋って、復興が遅れてしまえば本当に人災だと言わざるおえない。

 

原子力工学専門家ブルーノ・ペロード氏もこう言っている。

 

 

「この事故は天災ではなく、人災だと」

 

 

(4)メディア調整

放射能が漏れたことは皆さんもご存知だろう。当時の政府会見でも官房長官は「直ちに人体や健康に影響を及ぼす数値ではない」と繰り返していた。しかし果たしてこれは事実だったのだろうか?今では色々な情報が行き交い、数値がとても高かった言われていたが、当時からしてみれば政府が出した意見をメディアが流し国民に伝えられた。しかし当時の放射能数値は異常だったと思っている。それがトモダチ作戦を見て思った。

 

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トモダチ作戦とは物流インフラを整えるために仙台空港を復旧させるというアメリカ軍によるプロジェクトだ。これには感動が生まれた。多くの人が元気をもらい頑張ろうと思える出来事だったと思う。しかしトモダチ作戦は1ヶ月ほどで終わった。そもそもこれに参加したのはアメリカの海兵隊海兵隊を簡単に言えば陸・海・空のスペシャリストで戦争が起きたら先頭を切って乗り込む精鋭部隊だ。その海兵隊が1ヶ月で日本を去った。それは放射線数値が想像以上に高かったからだ。これを見たとき、放射線量高いんだなと私自身は確信に変わった。

 

案の定、作戦に参加した米兵たちからは体の健康に異常が見えた。アメリカはその後東京電力を訴えた。作戦実施中も線量チェックを以上なほどに行い管理していた。そこまでしてなぜ作戦を行ったのか。正直「トモダチ作戦」とは表向きなものだろう。

 

実は中国への牽制を意味していたと言われている。冷静に考えてください。人道的な支援もあったとは思いますが、米空母が日本近海まで急航して集まるだろうか?当時日本政府は中国政府の医療船派遣申し入れを断っている。アメリカが医療船ではなく情報収集専門の船とリークしたのだ。アメリカの情報操作により国民には「トモダチ作戦」として報道された。

 

この撤退1つから当時の日本がどれだけ危険なのか見えてきたはずだ。日本人は危機管理能力が劣っている。1つの情報から沢山の情報が込められているのに多くの人が気付かない。平和に越したことはないが、その中で察知する力、考える力を抜き取られたのかもしれない。だからこそ平和ボケが進んでしまった。