時を放浪

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メロスの速度

唐突なんですけど、僕は本読むのが好きなんです。結構本当でいろいろな本を読みます。今回はその「本」にまつわる話です。

 

皆さんも、中学校、高校の時に国語や現代文の授業で習ったことがある

 

走れメロス

 

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太宰治が書いた有名なお話ですよね。そのメロスは本当に走ったのか?っと研究をしたそうです。その研究をしたのが2014年当時中学2年生の村田くんです。今回はその村田くんが書いた研究と本当に間に合うのかを説明していきたいと思います。

 

走れメロスとは

話に登場する主な人物は3人います。

走るの大好きメロス

メロスの友達セリヌンティウス

狂った王様ディオ二ス

 

舞台は現在のイタリア シラクサ

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ある日、メロスが妹の結婚準備のためにシラクサに向かいました。でも街には活気がないので街の人に聞いたら王さまは人を信じられなくなったらしく、人を次々殺しているらしいです。ただのメンヘラによる権利の濫用ですね。それに対してメロスが刃向かったら、案の定処刑申告。

 

死にたいしては恐怖心はなく、唯一の心のこりが妹でした。妹の晴れ姿を見届けたら必ず帰るのを約束して、友達のセリヌンティウスを身代わりに置いていくといいます。三日後のにと没までに戻ることを約束します。この時点でメロスも中々なことをしますよね。帰ってこなかったら、セリヌンティウスを絞め殺していいよって言うんですよ。

 

あらすじはこんな感じですかね。それでは本来の目的である検証について書いていきます。

 

1章

メロス、村に戻る

※今回、数学が出てきます。計算沢山します。本当に計算大変でした。それでは説明しながら検証も紹介していきたいと思います。

 

まずはメロスの村からシクラスの距離です。作中にこのような一文があります。

野を越え山越え、十里はなれたシラクスの市にやって来た。

 1里=3.93㎞なので

10里=39.3㎞になります。

 

シクラスに向かって、妹に会いに村に帰ってまたシクラスに向かうので往復が

78.6㎞になります。

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ピンがシラクサで、赤い円線上が39.3㎞になります。

次にこんな文章があります。

メロスは、すぐに出発した。初夏、満天の星である。

王様と3日目に帰って来ると約束。その日の夜に出発します。満天の星空とあるので出発は夜だというのがわかります。出発を日付が変わる午前0時と仮定します。そして次に書いてあるのが

メロスはその夜、一睡もせず十里の路を急ぎに急いで、村へ到着したのは、あくる日の午前、陽は既に高く昇って、村人たちは野に出て仕事をはじめていた。

午前とかいてある点と日は既に高いとかいてある点から、到着時間を10時とします。速度を求めたいので、公式を使っていきましょう!距離÷時間なので片道39.3㎞と午前0時に出発で着いたのが10時なので所要時間10時間を割ると、、、

 

平均時速3.9㎞になります。

成人男性の平均時速4㎞なので

 

メロス普通に歩きました。なんならちょっと遅い疑惑。友達を身代わりに差し出して、命がかかっているのに歩きやがった。だいぶメロスくん余裕こいてます。

 

2章

婿、嫁の都合は関係ない

村に着いたメロスは頑張って走ったので疲労困憊。メロスを見つけた妹はその疲れた姿に驚きを隠せません。驚いている妹にさらにサプライズ発言を言います。

 

「明日、結婚式ね」

 

なんということでしょうか。時期は初夏なので7月。お祝い事に欠かせないワイン。葡萄が実る9月を待たずして、式を挙げると言い始めました!しかも明日!さすがにこれには妹も怒るのでは、、、

妹は頬をあからめた。

 怒らないんかい。疲れた姿をみたら驚いたのに、その発言には驚かないのかい。

 

そんなメロス、お家に帰って祝宴の準備をしてる途中で力尽きて寝ます。ぐっすり寝ます。死んでるのか生きてるのかわからないぐらいぐっすり寝ます。目がさめると夜になってるぐらい寝ます。

 

起きたメロスは重要なことを忘れていました。「婿に結婚式は明日やることを伝えてない」ということです。早速婿のところに向かい話し合いを朝までしました。

 

そして、結婚式当日を迎えました。しかし忘れちゃいけないのは、友達を身代わりにしてきたこと。メロスは結婚式どんな気持ちだったんでしょうか?

しばらくは、王とのあの約束をさえ忘れていた。

セリヌンティウスを忘れないでください。 

 

夜まで祝宴は続いて、明日に備えてメロスは羊部屋に潜り込んで寝ました。

 

ここまでのまとめ

・メロスは走っていない。

・1日目はほとんど寝てる

・約束一瞬忘れる。

 

3章

数々たる悲劇!

作品の中の一文に書いてあるのは

眼が覚めたのは翌る日の薄明の頃である。メロスは跳ね起き、南無三、寝過したか、いや、まだまだ大丈夫、これからすぐに出発すれば、約束の刻限までには十分間に合う。

薄明 は日の出前、日の入り後のぼやぼやしたことを言います。舞台のシチリア島は北緯38度付近なので日の出はAM4:12なので目が覚めたのはAM4:00と仮定します。そして

メロスは、悠々と身仕度をはじめた。

とあるので、30分を身支度の時間とすると出かけるのは4:30と推定します。そこから街に向かって走っていったメロスに 悲劇が一気に襲いかかります。

全里程の半ばに到達した頃、降っていた災難、メロスの足は、はたと、とまった。見よ、前方の川を。きのうの豪雨で山の水源地は氾濫はんらんし、濁流滔々とうとう下流に集り、猛勢一挙に橋を破壊し、どうどうと響きをあげる激流が、木葉微塵こっぱみじん橋桁はしげたを跳ね飛ばしていた。

 半分まで来たメロスの前で川が氾濫を起こして橋は木っ端微塵になるほど荒れていたそうです。しかし今回気になるのは走っているのか、走っていないのか。計算していきたいと思います。全理程の半ばとかいてあるので5里まで来ました。19.65㎞の道のりを終えました。数字がめんどくさいので、20㎞とします。そして時刻はどのぐらいなのか。

 

時は刻々に過ぎて行きます。太陽も既に真昼時です。

 

とあるので時刻はPM12:00には半分まできていたのでメロスが半分までくるのに要した時間は7時間30分です。計算すると

 

平均速度は2.7㎞※四捨五入

 

途中まで雨が降ってたとしても、この速度はメロス。とんでもなく遅いです。歩きスマホぐらいの速度なのか、、?とりあえずメロス歩いてました。シチリア島の日の入り時間が19:04ですが、切りよく19:00とします。残されたイムリミットは7時間。

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死ぬ思いで川を渡りきった、メロス。ではどのぐらいの雨だったんでしょうか。実は結婚式のこんな事が書いてがありました。

結婚式は、真昼に行われた。新郎新婦の、神々への宣誓が済んだころ、黒雲が空を覆い、ぽつりぽつり雨が降り出し、やがて車軸を流すような大雨となった。

現代基準になりますが結婚式は平均で2時間30分かかります。真昼を12:00と仮定して終わるのは14:30と推定します。宣誓とかいてあるので現代の式では開始から15分後ぐらいに誓いがあります。なので12:15から雨が降り出したと仮定。

 

翌日の2里、3里行くまで雨が降っていたと書いてあるので、3里をa地点とします。村からa地点まで11.79㎞あります。これを計算すると四捨五入有りで4時間40分なので朝の9時10分までは雨が降っていたことになります。前日の降り始めから、次の日の降り止むまで約21時間雨は降り続けていました。

 

気象庁の雨の強さと降り方を見ると大雨は30以上〜50未満が該当します。なんでそれが該当するのか、橋が木っ端微塵になるほどの雨ですよ?相当強いですよね、、、

 

氾濫した川を目の前に時刻は12:00。渡りきるのにどのぐらいかかったのか。渡りきった直後の文がこちら

一刻といえども、むだには出来ない。陽は既に西に傾きかけている。

 日が傾くの意味は午後や昼直後の事指すので川を渡りきったのは13:00になります。使った時間は1時間。残り時間は6時間です。1時間もかかるのかよ!って思うかもしれませんが21時間も降り続けて、橋が木っ端微塵になる大雨ですよ。それは彼は渡りきった時点で人ではありません。

 

さらに、悲劇が連続して起こります。

ぜいぜい荒い呼吸をしながら峠をのぼり、のぼり切って、ほっとした時、突然、目の前に一隊の山賊が躍り出た。

 本当にかわいそうです。冷たい川の次は山賊です。しかし山賊を振りほどいて、山を駆け下ります。下りダッシュで体力を失ったメロスは目眩を感じるほどにダウンしました。膝から倒れるほどのダメージを負ったのです。でも文の中に坂道を下る速度や、時間も書いてないので書けません。しかしここまできたら細かいところまで調べるので諦めません。文章で気になる点を見つけました。

さっさと走って峠を下った。

そうです。峠です。峠とは尾根を越えて一番高いところ。尾根越えとは何か。

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これが尾根越え

しかし、山を下るとあるがこの地に山なんてあるのかと思って調べたらありました。しかもその山とんでもないです。

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エトナ山です。火山です。しかし山はこれぐらいしかありません。なので今回はこの山の峠を仮定して行きたいと思います。箱根駅伝山下りの平均速度は25㎞なので、メロスの山を駆け下りた時のスピードだとします。エトナ山は約3000メートルなので計算すると彼は3000メートル級の山を432秒で下山しました。つまりは7分です。

 

ここまでをまとめます。

・1時間で氾濫した川渡る。

・山を8分切って降ってくる。

・残時間は5時間50分。

 

山を下ったらメロスは目眩を起こし、膝から崩れ落ちます。7月の初夏で今の所何も食べずに、川を渡って山を全力で下りました。普通に熱中症ですね。しかも意識が朦朧とし始めて、メロスの中で回想シーンが始まります。すると水を発見したメロスは一口飲んで肉体の疲労回復に成功しました。安静にして休むのに1時間使うとします。残り時間は4時間50分になり、日没は19時。山を降りてきた後の残り距離は36㎞になります。

 

4章

本当に走ってメロス。

メロスが走り始めた時には、道行く人を押しのけて、跳ね飛ばして、走り続けました。文中にこんな風に書いてありました。

少しずつ沈んでゆく太陽の、十倍も早く走った。

太陽が動くことはないので、地球の回る速度で考えてみたいと思います。地球は1日で1回転するので24時間で3万㎞動くことになります。時速だと約1300㎞になり、その10倍は早いと言っているので、これを計算するとメロスは時速約13000㎞になり、これを秒速にしてみます。これを直すと秒速約4.7㎞になるので、、、

 

マッハ14に値します。

※1マッハは1200㎞になります。気圧、気温などは全部無視で。

 

つまりは7〜8秒しか使わないで街に到着しました。でも彼が着いたのは日が沈む直前です。日が沈むのは19時。4時間49分余っています。時速13000㎞で日が沈むその直後まで走り続けていたとなると

 

52000000㎞

 

地球の外周は40.075㎞なので、1297回回ってきたことになります。走ったことになります。意味がわかりません。どうやら彼は人間をやめたらしいです。

 

結果 

本気で走ったら余裕。

でも、半分以上歩いた。

 

 

〜おまけ〜

 マッハ14で走る中彼はいろいろな人を蹴飛ばしました。彼は約1500㎞飛ばされる計算になりますし、半径約3㎞の範囲は急に窓ガラスが割れます。急に鼓膜破れるらしいです。